「この愚か者めが」(ある国会議員が発した言葉)

2023年8月27日

 

「周利槃特(しゅりはんどく)」さんにかけられた、お釈迦様のお言葉。

「自分が愚かであると気づいている人は、智慧のある人です。」

 

8月25日、5ch7時50分頃「生誕100年山下清展」(~9月10日)を取り上げていた。山下清と言えば、芦屋雁之介主演のドラマ「裸の大将放浪記」でお馴染みで、日本のゴッホと称賛された山下清画伯をモデルに描いたフィクションドラマである。番組では、実在の山下画伯と違う点を紹介していた。

ドラマでは、旅先で毎回貼り絵を作成していたが、実際は育った養護施設に帰って来た時に記憶をもとに作成していたという。(記憶力にも感服)

 また、ランニングシャツに半ズボン姿だが、実際は身だしなみには人一倍気にする人でベレー帽を愛用していたという。

 とりわけ「花火」が好きで、花火大会の開催を聞くと、全国に足を運び、その時感動した情景を記憶をもとに作品を仕上げていったという。代表的な作品の「長岡の花火」は感動的である。

 貼り絵だけでなく、水彩画、ペン画、油彩画、陶磁器と多彩な作品を遺しているという。晩年ヨーロッパを旅行し、帰国後に描いた水彩画「パリのエッフェル塔」も代表作の一つである。

 

「パリのエッフェル塔」といえば、最近SNSで炎上した出来事があった。

 私たちも「観光旅行」に行った時、「ハイチーズ、1+1は2(にー)」なんて言って、記念写真の一つや二つとりますよね。

 でも、山下画伯の「パリのエッフェル塔」の水彩画を見たときの感動とどっか違うんだよね。これ以上言うのは・・・・・。

 

この炎上を見て、なぜだかふと「愚か者めが」という言葉が蘇った。

それは、

「ある法案採決の時、ある議員が「愚か者めが」「このくだらん選択をしたばか者ども」とやじを飛ばした。」

「別の議員が、本会議で「愚か者の所業、恥を知りなさい!」と発言。」

 

(当時、国権の最高機関である国会の場で、主義主張が違うとは言え、かなり刺激的だなと感じていた。)

 

お釈迦様のお弟子であった「周利槃特(しゅりはんどく)」さんに掛けられたお釈迦様のお言葉が思い出される。

 

※「周利槃特」さんについては、「茗荷と周利槃特さん」の項で紹介します。

 

 周利槃特さんは、聡明な兄のすすめで、お釈迦様のお弟子になりますが、教えを覚えることが出来ないおのれの愚かさを嘆いていたところ、お釈迦様が、「自分が愚かであると気づいている人は、智慧のある人です。自分の愚かさを気づかない人が、本当の愚か者です。」と言われ、一本のほうきを渡し、「ごみを払おう、ちりを除こう」と唱えて、掃除をしなさいと教えました。

 そして20年間掃除を一生懸命続け、ゴミやちりは実は、私の心の「煩悩」であることに気づき、それを除く修行を続け、阿羅漢と呼ばれる聖者の位にまで昇りつめました。

 

                        自らを「愚」と名乗られた高僧方!

 また、浄土真宗の開祖親鸞聖人をはじめとする高僧方が、自らを「愚か者」と名乗られていたといいます。

●最澄(天台宗開祖)「愚が中の極愚」

●良寛禅師「大愚良寛」

●源信和尚「頑魯の者」(がんろ:頑固で愚かの意)

●法然聖人(浄土宗開祖)「愚痴の法然房」

 「愚者になりて往生す」

●親鸞聖人(浄土真宗開祖)「愚禿釋親鸞(ぐとくしゃくしんらん)」

●小林一茶「春立や愚の上に又愚にかへる」

浄土真宗を開かれた親鸞聖人のお言葉に

◆「愚禿が心は、内は愚にして外は賢なり」(愚禿鈔:ぐとくしょう)

  意訳「私の心は、外見では賢く振舞っているが、その中身は煩悩にまみれ、愚かである」とあります。

 

◆同じ「愚か」でも、この「愚か者めが」!という罵声(?)を他の人に対して発した人もいれば、己を深く洞察して、「愚か者」と自覚(内省)する人もいる。

 さて、この私はどっち派?この機会に、考えてみたい。